Henry Poole & Co

1806年に設立されたセヴィル・ローで一番最初のテイラー。ナポレオン1世が、エルバ島から逃げ、ウォーター・ルーの戦いで敗れてセント・ヘレナ島へ流刑されるまで、彼にチュニックなどの軍服を作り続けたのがこのテイラー。ヴィクトリア女王から、今日のエリザベス女王2世までロイヤルワラントを授与され続けている。このテイラーが紳士服の歴史やジェントルマンの文化に与えた影響は大きい。プリンス・オブ・ウェールズであったエドワード王子に気に入られ、人気を増したヘンリーの店は、連日ワインや食事も振舞われる社交クラブ的存在となっていった。また、アメリカの略式夜会服であるタキシードは、エドワード王子が、ニューヨーク「タキシードパーク」の要人をロンドンに招いた際、ヘンリー・プールがデザインした「スモーキング・ジャケット」を作るように薦め、アメリカに持ち帰られたそのデザインが現在のタキシードの原点になったといわれている。世界各国の王族達がこぞってオーダーし、紳士服の歴史を刻んできたテイラーといえる。